私は作法を学びたくても中々学べませんでした。経験から申しますと、いざ学ぶ機会を得られても、その意欲を保つのは容易ではありません。学びの階梯を全う出来る者は少数です。そうした中、得度を果す事が出来る行者は更に一握りもおりません。
今年は七人が得度にまで至りました。この中で海外の行者五人は峰修中修行で得度式を迎えました。ドイツ、中国、香港と国籍は事にしておりますが、その情熱は修験者としての筋金入りです。
同門の行者たち、そして甑岳に宿る諸神諸佛諸大権現が見守る中、英語での得度式を執り行いました。山中の修行小屋は荘厳さはありませんが、神仏が集う異界の神聖さにはかないません。この甑岳こそが行者としての一歩を飾る最高の舞台です。
