4年前の今頃の事でした。勤行が終って内陣の片隅に寛永通宝が一枚転がっていたのです。江戸時代の銭がなぜそこにあったのか。思い当たるのは2月の星供の時に束ねた寛永通宝を使う事がある事。その時に落としたのだろう。
それくらいの軽い気持ちで、寛永通宝を銭供の器に入れ、そのまま祈祷に用いておりました。祈祷の度に、あぁ、あるな、という感じで手にしておりました。現行の百円や十円硬貨に混じっての一文銭は、不思議な気を放っていました。
ある日、その寛永通宝が見当たらない。器の底に紛れたか…。ひっくり返したが無い。忽然と現れ、忽然と消えた一文銭。なぜ、そこにあったのか。なぜ消えたのか。その銭を手にして祈祷をした、あの感触が今でも消えません。
一文銭を携え時空を超えて、この内陣に出入りした者は誰だったのでしょうか。