行者が道場を構えるためには、本尊となる仏像に魂を入れる作法は必要です。神仏を勧請出来なければ、道場はも抜けの空であり、祈祷をしても感応道交は叶いません。
紹介する作法は、年末に自坊のすす払いに先立ち、本尊となる仏像の魂を抜く発遣(はっけん)を行ない、大掃除が終わった後、修正会(しゅうしょえ=正月の祈祷)の前に開眼(かいげん=魂を入れる)するとの想定で組み立てております。
目的に応じて表白(ひょうひゃく)を代えて頂ければ、仏壇を買い換える時の発遣や、ご位牌の開眼(かいげん)などに修する事が出来ると存じます。
発遣略作法
先護身法 |
次洒浄 |
次加持 |
次懺悔文 |
次六根清浄太祓 |
次發菩提心御真言 |
次三昧戒御真言 |
次表白 敬ってこの尊像に白して言(もう)さく。 夫れ仏子○○開眼供養してより以来、三身万徳(さんじんまんどく)の妙用(みょうよう)を具足(ぐそく)して、利益衆生(りやくしょじゅう)の益を施与(しよ)し玉う。 本日大晦日を迎え、尊像を清めんがために、暫らく法性(ほっしょう)の果位(かい)に送り奉り、重ねて勧請(かんじょう)し奉らんと欲す。 唯、願くは本尊本位に還着(かんちゃく)し玉え。 |
次華座(八葉印) 想え・法性の本宮に華座(かざ)を施(し)くと ヲン・ア・ソワカ |
次弾指 掌を仰げて弾指七反 ヲン・バサラ・モキシャ・モク |
次法施 |
次真言 |
次後唄 |
次護身法 |
※先というのは最初に行う作法で、次というのは先の後に続いて上から順に行う作法です
【解説】
洒浄と次に続く加持は洒水(しゃすい)作法の事です。
各自の師僧からの伝により修して頂ければ結構です。
發菩提心御真言は金剛合掌、三昧戒御真言は独鈷印を以って唱えます。
そして神仏が示す阿字本不生である八葉印の本宮に、弾指(たんじ)と共にお帰り頂くと観想するのです。
開眼略作法
先護身法 |
次洒浄 |
次加持 |
次懺悔文 |
次六根清浄太祓 |
次發菩提心御真言 |
次三昧戒御真言 |
次表白 敬ってこの尊像に白して言さく。 尊像を清める間、本性の本宮に送り奉るといえども、いま茲(ここ)に勧請して開眼供養を修し奉る。 濁江(にごりえ)の錦は洗うに随(したが)って色を増し、諸仏の体は感に随って益を施し玉う。 仰ぎ願くは弟子が法施(ほうせ)を納受(のうじゅ)して降臨影向(こうりんえいこう)し玉え。 |
次散杖作法 独鈷と散杖(さんじょう)を持って、尊像の額に種字(しゅじ)を書き、それを包む様に散杖の先で右三転する。 種字が金色の玉となり、尊像に入ると想え。 |
次大鉤召印明 (内縛して右手の人差指で招く事、真言の度に三反) |
次仏眼印明 三反 ヲン・ボダロ・シャ二・ソワカ |
次法施 |
次真言 |
次後唄 |
次護身法 |
【解説】
作法の概要は作法中に示してある通りです。
開眼は散杖作法に集約される事に尽きますが、その運心は念誦(ねんじゅ)作法に極めて近いものがあります。